告白・湊かなえ氏

久しぶりの読書感想文ですが…。娘の書庫にあったものを読んでみました。武庫川女子大出身ということで、若いときバイクでわざわざその女子大まで文化祭に行ったこと、そのとき、集中豪雨の直後で武庫川が氾濫しててすごかったことを思い出しました。

最後まで読み終わったときは、ショックというか、これほど後味の悪い思いをしたことはない…という感じです。

映画化もされていて松たか子さんが主人公の女性教師役を演じたそうです。その映画をみた伊集院光氏のブログには、「もう見たくない」とまとめています。

幼いわが子を殺された女性教師が、犯人に復讐するというストーリーです。
その復讐の道具に「HIV患者の血液」、これは、禁じ手であり、もうだめです。
今、教育現場で大問題になっている「いじめ」あり、勝手な大人のエゴイズムあり、そのエゴイズムがゆがんだ子どもを形成している姿あり、女性教師によって直接関係ない人たちが、たぶん殺される…。あまりにもゆがんでいます。これが現実なのだと、受け止めてはなりません。私は、人間の回復力を信じています。ゆがんだものは、治らないと決めつけたくはありませんから。
これが、資本の論理で悪が暗躍しているのなら、社会性のあるストーリーとして仕方ありませんが、この小説は教育現場です。

著者が、私と同じ思いで日本社会に警鐘を鳴らしているのだと信じていますが、そうでなければ、受け入れられません。そうであるなら、「HIV」問題もふくめて、再生する人間を描いてほしいと思います。